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お兄ちゃんといっしょ
第5章 第5章
運転席のドアが開き、お兄ちゃんが無言で乗り込んできた。
顔に笑顔はない。
シートベルトを締めながらお兄ちゃんは私に左手を差し出し、「鍵」と言った。
手の中で温かくなった鍵を慌ててお兄ちゃんに差し出すと、お兄ちゃんはそれを受け取り、エンジンをかけた。
ゆっくり車が動き出す。
煙草のけむりを吐き出しながら、お兄ちゃんは車がブンブン行き交う車道に出て行くタイミングを図っていた。
私は黙ったままシートベルトを締めた。
左折。
バックミラーに引っ掛けられたふなっしーのキーホルダーが左右に揺れている。
お兄ちゃんはカーナビ画面をテレビに変えた。
けれどすぐまた操作し、ラジオに切り替えた。
FMラジオから、聴いたことのないバンドの不穏な曲調の歌が流れだす。
お兄ちゃんは「あっ!この曲すきー」と、まるでデート中の女子のようなせりふを呟き、しかしながら楽しそうな様子は一切見せずに、真顔で鼻歌をうたっていた。
顔に笑顔はない。
シートベルトを締めながらお兄ちゃんは私に左手を差し出し、「鍵」と言った。
手の中で温かくなった鍵を慌ててお兄ちゃんに差し出すと、お兄ちゃんはそれを受け取り、エンジンをかけた。
ゆっくり車が動き出す。
煙草のけむりを吐き出しながら、お兄ちゃんは車がブンブン行き交う車道に出て行くタイミングを図っていた。
私は黙ったままシートベルトを締めた。
左折。
バックミラーに引っ掛けられたふなっしーのキーホルダーが左右に揺れている。
お兄ちゃんはカーナビ画面をテレビに変えた。
けれどすぐまた操作し、ラジオに切り替えた。
FMラジオから、聴いたことのないバンドの不穏な曲調の歌が流れだす。
お兄ちゃんは「あっ!この曲すきー」と、まるでデート中の女子のようなせりふを呟き、しかしながら楽しそうな様子は一切見せずに、真顔で鼻歌をうたっていた。