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第5章 第5章

「…だから俺、食いぶちが一人増えたところで今更困ったりしないよ。いっしょのことだから」


　胸がどきんどきんと騒ぎ出す。
　赤信号。
　私の気持ちを知ってか知らずか、お兄ちゃんは横目で私を見つめて笑っていた。



「…で、俺になんの用なの？」
　

　自分でも気付かないうちにぽろんとおっこちた涙を、お兄ちゃんは手を伸ばして拭ってくれた。


「急に泣くなよぉ」


　そう言って笑いながら、初めてお兄ちゃんが私の肌に触れた。
　お兄ちゃんの手は、私の知らない、男の感触がした。