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お兄ちゃんといっしょ
第5章 第5章
 お兄ちゃんは鼻歌をうたいながら「ふーん」と言った。


「行きたくなきゃ、別に行かなくたっていいよ」


 今度は右折。
 内環状線に入る。
 日曜日の朝なのに、車はたくさん走っていた。


「べつに、学校なんか行かなくたって生きていけるよ。
 俺もチュー卒からの高卒認定だし。
 さっき見たろ?世の中にはスーツ着て会社に行く以外にも色んな仕事があるんだよ。
 どんな生き方をしようが、探せば自分に合った仕事はどっかに転がってるもんだよ」


 ボエボエボエとしか聴こえない歌の歌詞を、たまにお兄ちゃんもボエボエボエと口ずさむ。


「けど、金を稼げるかどうかはオツム次第だから。
 なにしたって勝手だけど、勉強だけはしといたほうがいいよ」


 そしてまた、ふふふと笑う。


「…あーあ。やだな。俺も説教垂れる人間になっちゃったよ。
 さっきのヤツ、翔太っていうんだ。
 ヘマばっかするうえに遊んでばっかだから、コイツ大丈夫かって思ったらつい説教垂れちゃって…ばあちゃんの影響かな」


 
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