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第11章 原点回帰 ーフラクタルー
携帯の煩(うるさ)い着信音──
手だけをまさぐって、頭の上の小物置き場を漁る。
手にした携帯に目を閉じたまま応えた。
「…ん、もしもし…、誰……」
「トモちゃん、おはよ…、今起きたのか」
「って、誰?…ンんン…トモちゃん…ってえ~~!おやじかぁ!」
「親父かは無いだろ。大事な親の声を忘れるな。で、今、家か?」
(何が“大事な親"だ、普通は大事な息子とか言わないか?)
「…朝っぱらからなんだよ…アパートだけど…」
「そりゃ良かった。今から行くから。暫(しばら)く家に居ろ」
「”居ろ”ってなんだよ、急に…そりゃ、居ることは居るけど…、暫くって…俺、大学行くし…」
「直ぐ着くから大丈夫。ちょっと待ってろ…」
「すぐって…、ォィ!何処から来るつもりだよ!何だよそれ…、ォィ、親父って…」
”ツーツーツー”の無情な音を残して、プツリと会話が途切れた。