この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
コミックサイトで逢いましょう
第14章 扉の向こう側 ―背反、或いは排反―
耿輔のマンションは駅から歩いて10分チョイのところにある。
今まで、そこに行ったのはホンの数回ほどの筈なのに、言いようのない心地よさを感じるのは何故だろう。ここにヤツが居るから…そんな軟派な理由には納得出来ないけど。
エントランスホールのセキュリティを抜けて耿輔の住む部屋へと急ぐ。電話番号は登録してないくせに、マンションへ入る暗唱番号は覚えてる。
俺も相当捻くれ者だ。
501号のドアの前まで来ると、ふと初歩的な疑問にぶつかった。
(ところで、ヤツは部屋に居るのか?連絡もせずに来ちゃったけど…)
…って、連絡…?
そのときになって、携帯を忘れてきたことに初めて気付く。
早く着くことだけに夢中になってて、携帯のコトまで気が回らなかった。これじゃ、たとえ不在でも、ヤツの居所を確かめることすら出来ないじゃないか。どこまで抜けてるんだか…
”ハァー”思わず吐息が漏れる。
不在だったら、単なる間抜け。
もう、帰りの電車もない、どうしよう…