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第14章 扉の向こう側 ―背反、或いは排反―
壁に凭(もた)れ掛かりながら、何とか立ってるという感じ。それでも俺の躯を抱き締める腕の力は緩めなかった。
「…どうした…今日は逃げないんだな…」
耿輔は俺をひやかすように、掠(かす)れた声で耳許を揺らす。
そのままゆっくりヤツの唇が俺の首筋に触れたとき、俺は吐息の奧から思いがけず素直な言葉を口にした。
「…ぁぁっ……急に…会いたくなった…」
耿輔に会うたびに、どんどん自分が変わっていくのが分かる。
ちょっと前の俺なら、こんなヤワな言葉を口にするなんて想像もできなかった。女の子の前でも言ったこと無いのに…
俺の何処にこんな素直な人格が隠れて居たのだろう。
「可愛い顔してそんなと言うなよ…滅茶苦茶にしたくなるだろ」
「馬鹿言ってんな…、こんな熱あるのに」
「…熱あったってそれとは別なの…おまえ無防備過ぎ…もっと警戒しろよ…」
耿輔が俺の歯列を無理矢理割って、熱い舌先をねじ込んでくる。犯すような深い深い唇づけ。それは刹那の逢瀬に酔う恋人たちのようだった。