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第14章 扉の向こう側 ―背反、或いは排反―

貪るような激しい唇づけの前に俺の理性はかき消されていく。

「もっと、もっと、おまえを知りたい…俺の躯に馴染ませて、おまえが啼いて助けを求めるまでおまえの中を掻き混ぜてやりたい…俺以外の誰もおまえの心に入り込めないくらい、俺のコトだけで一杯にしたい…」
首筋を伝う吐息に殺気立ったものを感じる。

「…耿輔…おまえ…変だよ…いつもはもっと冷静…」

「これがホントの俺さ…感情のままに強引に奪うってのが…俺のやり方」

俺の躯を離してそう言った耿輔の笑顔が、余りに淋しそうで居たたまれなくなった。


どうして、今まで気付かなかったのだろう。


ヤツが俺を求めてくるのは、空っぽの心を満たすため。孤独で冷え切った躯を俺の体温で温めるため。だから、俺を抱くときはいつもギリギリの状態。

壊れそうな心を抱えていたのは、寧ろおまえの方だった。俺を労る振りをして、自分の弱さを隠していた。

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