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第2章 美味しい話にはご注意下さい

金欠の俺は旨いバイトの話をおじゃんにしないように、これ以上相手の機嫌を損ねそうな質問をするのを止めた。

その代わり、手持ちぶさたなので外の風景をボンヤリ眺める耿輔の横顔を観察する。

部室にいるときは特に何とも思わなかったが、こうして明るいところで見てみると、なかなかに端正な顔立ちだ。

きつそうな目も全体のバランスから考えると丁度良い。
 
甘いだけの顔は頼りないものな…結構格好良かったんだ、こいつ。

もてるのかな?

親父が見たら飛びつきそうなタイプだよ…

…んんっ、ってなに考えてんだ俺?!
 
自分でも呆れるような下らない思考は、このところの睡眠不足(追試のレポートの期限に追われて…トホホ)のせいだと慌てて自分に言い聞かせる。
そう、そうなのだ!
 
その後はなるべくヤツを見ないように車窓の景色だけを虚ろに追った。
 
だけど、ホントに虚ろな気持ちになるのはこの後だったのだけれど…。

虚ろなだけじゃなく…ドツボな…。
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