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第2章 美味しい話にはご注意下さい
耿輔は405号のインターホンを短く2回鳴らす。返事を待たずにノブに手を掛けると右へ。
ドアはすんなり開いた。
”ちょっと不用心じゃないの?”という俺の考えを余所に、「ちゅーっす」と気怠い挨拶一つで中に入っていく耿輔。
それに負けじと(どこででも張り合う哀しい癖…)、清々しい声で、
”こんにちは、よろしくお願いします!”なんて礼儀正しく言ってしまう。
長らく陸上部なんかにいたせいで、俺はきちんとした挨拶が習慣になっていた。
後になって思えば、この爽やかさが自分を窮地に追い込むことになるわけだが…
暗澹とした閉塞的な空間に響く場違いな明るい声。
その声に、奧で何やら顔を付き合わせていた連中が一斉に顔を上げる。
そしてバラバラに返ってくる挨拶。
「ちゅーす」
「おっす」
「おはよ」
「まぁ、コウにしては早いじゃない。いつももっと遅いのに・・・あら~、彼なの~?!爽やか系のかわい子ちゃんねェ」
「直さん、だめだって。彼ノンケだから」
「あら、何言ってんの。だから良いんじゃな~い」
”ノンケ”って…それって俺のこと?じゃ、他の連中は…?!