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第14章 扉の向こう側 ―背反、或いは排反―
湿った音がこだまする部屋は、亨が居なければ、温もりの感じられないただの無機質な場所。生活臭のしない殺伐とした部屋は、耿輔の渇いた心そのものを表しているようだった。
いま、初めて耿輔の内面に触れたような気がする。決して弱音を吐かない耿輔の強さの裏にある冷たい素顔。
おまえは一体今まで何を見てきたんだ…
どんなモノを見てきてたとしても、俺を抱いているときくらい、何もかも忘れさせてやりたい。淋しかったら、素直に甘えてくれればいい。
一番自分に素直じゃなかった俺が言うのも可笑しいけど…
「本気になりそう…」
俺のシャツの下から滑り込ませた熱い手で、ウエストをギュッと包み込んで耿輔が言う。
「…今までだって…」
「ずっと、怖がってたろ…本気になってもいいのか…」
「……」
耿輔には全部お見通しだった。
黙って逸らした俺の視線の先にあるのは暗黙の了解。