この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
コミックサイトで逢いましょう
第15章 【第三部 * Another ring * 】悪友実咲
凄いスピードでキャベツが刻まれていく。刻んだキャベツは1/2個分ずつ、しっかりビニール袋に詰められて段ボール箱へ。
ここは、最近とある雑誌で話題になった人物の部屋──
納得のいかない不条理な理由に、ブツブツ文句を言いながらも健気にキャベツを刻んでいるのは、当の本人─津山 固望(モトミ)─だった。
「…ったく、なんでまた今年も実咲の手伝いなんだよ…こっちはスッゲー忙しいのに」
わざと聞こえるような声で、今日何度目かの愚痴をこぼす。
だが、言われた相手はそんなささやかなモトミの抵抗には動じる気配もない。それどころか自分の采配に酔っているようにすら見える。
「流石、伊達にエロ親父と斑ボケ婆ちゃん相手に3年間炊事担当してた訳じゃないよなぁ。やっぱ、モトミに頼んで正解だったよ」
一人悦に入りながら、袋詰めのキャベツをせっせと段ボールに積め込んでいく。大量のキャベツと共にモトミの部屋に押し掛けてきた相手は、中学からの彼の悪友、坂口実咲。モトミとは今年で8年の付き合いになる腐れ縁の友人。