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第18章 耿輔の誘惑 実咲の疑惑 モトミの当惑

「他に忘れ物あったからついでにさ。…って言ってもおまえの忘れ物じゃないけど」

耿輔は不敵な嗤(わら)いを浮かべて、勝手に部屋へと上がり込む。

モトミの前に立つと、俯(うつむ)く相手の首筋にそっと片手を触れて、その体温やビクリとする感度の良さを確かめた。

そして、そのまま反対の手で優しく腰を引き寄せる。

耳許で低く囁く声はモトミにしか聞こえない。

「あの日、先に出掛けたろ。何も言わずに行くなよ…キスし忘れた…」

耿輔はモトミの細い顎をすくい上げると、戸惑う唇に自分の唇を重ねた。

初めは啄(ついば)むような軽いキス。
その内親指を唇にねじ込んで、無理矢理歯列を開くと、深く濃厚なキスを強要する。

躯(からだ)を逃がそうとしても、左手で腰をガッチリ掴まれて身動きが取れない。

モトミの口から喘ぎとも吐息ともつかない音が漏れた。

目の前で展開される余りに大胆な行為に、実咲は茫然自失の状態。