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第19章 無限後退 或いは“収束"

”耿輔何やってるんだろう…傘も鍵も無いなんて最悪”
 
モトミの気持ちはすっかり凹む。

楽しげにチチくりあうお馬鹿なカップルを羨ましそうに見詰める、更にお馬鹿な自分。

虚ろな気分がモトミを覆う。でも、ここから脱出する方法を知らないのは本人だけ。
 
それを認めてしまえばいっそ楽になれるのに…モトミ。
 

そろそろ1時──



自動ドアが開いて、冷たく湿った外気が流れ込む。これが自分の最後の客になりそうだ。

「いらっしゃいませ……」

レジ仕事の片手間に見上げたそこには、待っていた人の姿。

思わず打つ手が止まる。モトミの瞳が一瞬輝いたように見えた。
 
そんなに待っていたのに。

どれだけ言い訳したって、耿輔を愛しいと思っているその心はお見通し。(誰に?!)
 
きっとモトミは弁解するだろうけど。
 
”鍵を待っていただけ”だって…。
 
                 
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