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第4章 悪夢再来 ―ecstasy―
人に支えられて、漸く何とか立っていられるというフラフラ感。でもそのフラフラが病的なモノで無いことは身体の他の部分が如実に物語っていた。
俺だってあんな親父を持っていれば、多少は”その道”の知識を持ち合わせている。
あの時のクスリ…
恐らくあれのせい─デサイナー・ドラッグ(疑似麻薬)だったんじゃないのか。
駅に着く直前、車の中で渡された白い錠剤は俺がいつも飲んでいる頭痛薬にとてもよく似ていた。寝不足と近頃の超過労働から軽い頭痛の兆候を見せた俺に、内藤氏はご丁寧にも頭痛薬を用意してくれた。何の疑いもなくそれをお茶で服用した俺。
危険から遠ざかっている日常が俺の危機感知能力を鈍らせてしまった。異常な親に育てられたせいで、割と子供の頃から人の行為の裏を読むような疑り深い(…嫌な子供だ)性格だったのに。
そう、今になって思えば、その時の相手の目が異常に好奇に満ちていた気もする。