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第4章 悪夢再来 ―ecstasy―
だが全ては後の祭り。
始まってしまった俺の身体の変化は、今更どうすることも出来ない。

車内の熱気のために掻く汗とは比べものにならないほどの汗。その熱は自身の身体の内部から来るモノ。
それによって吹き出す汗に木綿のシャツが、直接素肌に貼り着いて気持ち悪い。

それより何より厄介なのは、この身体の疼き。
下肢を伝わる淫靡な疼きを自分ではどうすることも出来ない。ただ歯を食いしばって必死に堪えるだけ。

この現状に、少なくともあと数時間堪え続けなければならないと考えたら、俺の頭はおかしくなりそうだった。

それでなくても、二人の痴漢(耿輔だって痴漢していることには変わりないだろ!)に身体をまさぐられて、身の置き場を無くしている俺にこれ以上どうしろというのだ。

肩を震わせて浅い呼吸を繰り返しながら、俺は他のことを考えて気を逸らそうとした。

だが、いくらそうやって誤魔化したところで、嫌悪感に震える身体が快感に身悶える身体になるのは時間の問題だ。それも身も世もないくらいの悶え…。
電車の揺れが、鋭敏な感覚に非情な負荷を掛ける。
ただそれだけで、甘美な痺れを感じてしまう。
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