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第6章 記憶の淵から ―refrain―
半分ほど開けた窓から吹き込む風が、カーテンを大きく膨らませる。俺のいるこの洋室は、ベランダに面して大きな窓があった。
対面のドアが開いているせいで気持ちの良い風が通り抜けていく。初夏を思わせる爽やかな風に嬲られて、俺の髪は緩やかに揺れた。
俺は柔らかな日差しに瞬きをする。
実はもう随分前から目を覚ましていた。
でも、気怠い疲労感に包まれて起きる気がしない。
壁の掛け時計は、既に2時を回っている。朝の二度寝から5時間以上が過ぎた勘定だ。部屋の中は、時計が時を刻む音の他は何の物音も聞こえない。
静かだ…
久しぶりにこんなゆったりした時間を過ごしたような気がする。このところ、大学とバイトのスケジュールに追われて、慌ただしく毎日を送っていた。世間様が連続休暇に湧いていたGWも、結局俺はバイトに明け暮れていたし…
それもこれも、すべてはあの変態親父のせいだ。カネは送って欲しいが、親父の面は二度と見たくない。
もう絶対、臨床試験の手伝いなんかしてやるモノか。美味い交換条件を突き付けてられても…
(美味しい話…弱いんだよな俺…で、また填る…それじゃ、馬鹿だろ)