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第6章 記憶の淵から ―refrain―
あのときだって、別にそこから先があったわけじゃない。
忘れもしない、高校1年のあの夏合宿のときだって──
気持ちいいとか何とか、考える余裕は無かった。ただ、一方的に追い上げられて、何度も達(い)かされただけ。不条理な洗礼に歯を食いしばって、堪えるので精一杯だった。
慣れない環境の中、炎天下で十日間に渡る過酷なメニューをこなした躯は、既に限界状況に達していた。中学時代のタイトルを持つ自分への周りの期待は予想以上に大きく、精神的にも一杯一杯の状態。上級生から見れば、実力至上主義の世界とはいえ、一年でレギュラーの座を射止めた俺は面白くない存在だったろう。スケイプ・ゴート(生け贄の羊)としては、まさに打って付けの人間。
ストレスもピークに達した合宿後半、無言の威圧とハードスケジュールから珍しく食欲不振と睡眠不足に陥った俺は、案の定体調を崩してし風邪をひいてしまう。