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第6章 記憶の淵から ―refrain―
忘れようと思い続けながらも、俺の心を苛むあの日の思い出──

無礼講の名の下にいいように弄ばれ、鋭敏すぎる感覚に狂った自分。

あれ以来硬く封印して永久に閉じこめておくと決めた悪夢だった。

その後の俺は、がむしゃらに練習に励んだ。それこそ、彼女も作らず(作れず…か)脇目もふらず、ひたすらトップを目指して。

このまま、弱い立場で終わることに我慢できなかったから。
 
やめてしまうのは容易いことだったけれど、こんな下らないことで走ることを諦めたくなかった。その時の自分には走ること以外考えられなかった。
誰にも文句を言わせないようにインターハイでは常に優秀な成績を収める。

校内でも我が身を守るための味方を増やした。結構人当たりは良い方だったから、そう言う人間を作るのには事欠かなかった。

そして、俺が合宿で同じ状況に陥ることは、二度と無かった。
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