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17歳の落書き
第2章 藤田先生と千晴の結婚生活 ~久しぶりのデート~
「うわあ…すごい高いね。家はどっちかなぁ」
「あの辺りじゃないか」
「遥か下だね」


この町一番の高層ホテル。
この時間、幸いにも空室が出ていて部屋が取れた。


「内装は、こんなきれいだったかなぁ……?」


ここは、私の17歳の誕生日に先生と来たホテル。
近隣の商業施設のオープンに合わせてリニューアルをしてから、人気も高くなったようだ。
真新しい内装に、先生と笑い合う。

「お昼ごはんも頼んじゃおうよ。この景色見ながらゆっくりしたいな」

ベッドに腰掛けている先生。
10年前の風景がダブる。

でも、その時は笑顔なんてめったに見せてくれなかった。
笑ってほしくて、必死だった。



窓辺から、ベッドに向かって呼んでみた。

「……先生」

気付いた先生は、片眉と、口角を上げる。

あの時の17歳は、アラサーで一児の母になった。
絶対に結ばれることはないと思っていた先生が、月日を経て、またここで私といる。

ベッドの縁に座っている先生の前に立つと、先生は無言で私の両手を取った。
そして、示し合わせたように体を近づけ、抱き締め合った。


服を着たまま、先生は私の胸に顔を埋める。その仕草が愛おしい。
先生の髪を撫でて、おでこにキスをして、それで終わりとはならなかった。


今朝、ひらりと回って見せたワンピースのファスナーが、太い指で静かに下ろされてゆく。
先生の手ですべてを脱がされて、一切れも残してはくれなかった。

一糸纏わぬ姿で、白いシーツの上に横たわる。
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