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優しいヒトに虐められてます。
第9章 ここは猫カフェだから
「ハル……」

やだ……
考えたくない。
誰か嘘って言って……

私あんなに喘いじゃって……
あんなに気持ちよくなっちゃって……
それが電話越しに全部聞かれてたなんて……
しかも大事な友達に――チエミに。

そんなの嘘に決まってる……っ!
そんなのやだよっ……
そんなの恥ずかしすぎて……
もうチエミと話せないっ……!!

『………………』
電話の向こうのチエミは不気味なほどに静かだった。
切るに切れなくなって、何を言えばいいのかも
わからず閉口しているのかもしれない。

いきなりあんなものを聞かせられて、幻滅のあまり
口を利きたくないのかもしれない。

本当は席を外していて、何もかも
聞いていなかったかもしれない。

何が真実かは、沈黙の向こうから推し量ることはできない。

ただ一つ、厳然たる事実があるとすれば、それは――

ハルが彼に気持ちよくされていた間の声・音の全てが
電話を通して向こうに届いていた、ということ。

寝台に接するように置かれた机にあったのだから
喘ぎ声一つ漏れることなく、届いていただろう。

恥ずかしくて、怖くて、もう何もできなかった。
私は、どうしたらいいの?

「ハル、ダメだ」
ギシィッ。
気付けば、ハルは仰向けになっていた。
視界の真ん中に大津川の顔があった。
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