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優しいヒトに虐められてます。
第9章 ここは猫カフェだから
ハルは顔に冷たい何かが
ビチャッと当たって意識が戻った。
顔にかかったものを触る。
冷たい濡れタオルのようだ。

ハルは身体を起こした。
だるい。
見れば、亡くなった人のように全身に
何枚もの白いタオルが重ねてかけられている。

意識を失っていたような気がするが、そうでもないような気もする。
記憶があるようでないような――
と、不意にたった今まで自分がどうなっていたのか
急に思い出せた。

どうやら後でこの男を懲らしめてやる必要があるようだが
今は先に――

「ハル……」
大津川の声を無視し、ハルは重い手を上げて携帯を取った。
「チ、チエミ……いる……?」
だるい身体からやっとのことで声を絞り出す。

『……』
ザザッ。
ミュートを解除したのか、急に雑音と
相手の息遣いが聞こえてきた。
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