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優しいヒトに虐められてます。
第10章 森で暮らす女の子のちょっとえっちな日常
「何のつもりだ、ナツ」
トウの剣呑な声音。
彼はナツの帽子に目を留めた。
「お前……」

「ハル、双子の冬うさぎの兄、トウは俺だ!」
「ナツくん……」
少女は憐れみのこもった眼差しを向けた。

「ねえ、トウくん。もし、ナツくんが私と
キスさせてほしいって言ったら、許してくれる?
たった一回だけでいいから、って言われたら」

「ハル……?」
ナツは少女の発した言葉に戸惑いながらも
何かに期待しているような表情をしていた。

「はあ?」
トウは愚問だとでも言いたげに片眉を吊り上げた。
「そんなの、許すわけないだろ。一回だけとか
関係ない。双子の弟だろうが男であれば敵だ。
女でも嫌だな」

それを聞いて、ナツの顔が再び険しくなった。

「ナツくん。聞こえた?
トウくんはね、たとえ双子の弟だとうと
たった一度だけであろうと
私に、他の男の人のキスを受け入れろなんて
絶対に言わないの。

だからね
『不意打ちのキスくらいは許してやってくれ』
なんて言ったあなたは、トウくんじゃない」
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