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優しいヒトに虐められてます。
第11章 笑い過ぎに注意
「おじゃましまーす」
大津川の事務所のドアを開けた途端
ハルは本気で引き返そうかと思った。

え……なに、あの鎖……

寝台の四隅の脚から、短めの鎖が
ぶら下がっていた。
前にぶひぶひ言わされた時に使った
プラスチック製の鎖だろうか。

絶対今日は拘束系じゃん!!
ええー……

危険な香りしかしない。
すでに恥ずかしい企画とやらが書かれた紙は
一枚しか残っていないので
何をするかは決まっているはずだ。

「トウキくーん……」
ハルが呼びかけると
ガチャリと音がした。
大津川はやはり奥の部屋から出てきた。
そこが作業場らしい。

「お、今日もちょっと頑張ってくれてるね」
ハルは少しもじもじした。
彼が服装のことを言ったのはすぐにわかった。
今日は新しく買ったショートパンツと
白のトップスで夏らしさを意識してみた。

「ね、ねえ、これ何……?」
恥ずかしくなってハルは寝台を指さした。
彼もそちらを向く。
「ああ、鎖……かな?」
いや、それはわかってるから……
っていうかむしろ何で自信なさげだったの……

「あの、今日は私拘束されちゃう感じ?」
「ドMのハルなら大好物でしょ」
「ドMでもなければ大好物でもありませんッ!!」
大津川が軽快に笑った。
もういつしか、変なノリが確立されてしまっている。
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