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優しいヒトに虐められてます。
第11章 笑い過ぎに注意
1:59、1:58、1:57…
コンマ以下の秒数が高速で回転しているせいか
かなりの速度で時間が経過しているように感じる。

対する大津川は悠々としていた。
もうちょっと焦らなくていいのかな。

彼が最初に手に取った道具は、先端に硬めの
シリコンっぽい極小の棒がたくさんついた
ブラシだった。
形と色からして、明らかに日用品ではなく
くすぐり用のアイテムだろう。

「んじゃ、始めるよ」
脇か、首か、どこをくすぐってくるのか
警戒していると、意外にも彼は
ハルの右手首を取った。

そしてブラシの先端で手のひらを
優しく掻いた。

「――ッ!!」
ブラシの硬い感触が触れた瞬間、ゾワゾワっと
鳥肌が立った。
そして、言いようもないくすぐったさが襲いかかる。

「手のひらは神経が集中しているからね。
皮膚の硬さに合ったこれを使えば
かなりくすぐったいはず」
彼はハルの手首を寝台の上に軽く押し付けて
固定し、指を開くよう指示を出して
指先まで何度も優しく掻いた。

「っ…! ぅぅ…んふッ!」
ムズムズするどころではなかった。
くすぐられている手のひらが
今にも五本の指を全てフッ飛ばして
口を生やしゲラゲラと笑い転げ出しそうな
そんな感覚。

これは、思ってた以上にきついかも……!
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