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優しいヒトに虐められてます。
第11章 笑い過ぎに注意
「恐れていた事態がついに来たよ」
「はぁ、はぁ、これでもう、私リーチだね」
束の間の解放感に浸りながら、ハルは言った。

「うん、それもだけど……
それ以上にヤバいのは、ハルがおしっこ漏らすのに
抵抗がなくなったってこと」
「いや抵抗はあるから!! はぁ、はぁ…
トウキくんが無理やり……はぁ…
私にぉ……ぉ…漏らしさせてるだけ…だから…」

「息苦しいなら叫ばない方がいいんじゃない?」
誰のせい!

クシュッ!

ん?
今、子犬の可愛いくしゃみみたいな音しなかった??

クシュッ!

今度はしっかり大津川がくしゃみをするところが
視界に入っていた。
「え!? トウキくん!?
大丈夫!? 風邪引いちゃってない??」
「うん。大丈夫」

お願いだから風邪なんか引かないで!
私のおしっこで風邪引いちゃったとか……
そんなの私……私……恥ずかしすぎて……
――じゃなくて。

純粋に心配。

「ねえ、やっぱり着替えて身体あっためた方が……」
「それはハルも同じでしょ。終わったら
ハルにはお風呂に入ってもらうから」
「いや、先にトウキくんが」
「女の子が先に決まってるでしょ」
「いやでも」
「ハルだよ」
「トウ」
「ハル」
「……」
「……」

大津川は不意に背を向けた。
「とりあえず、お風呂沸かす準備してくる」

風呂場の方からガサガサ聞こえた後
彼が帰ってくる。
「トウキくん、早く8回戦やろ。
お互い風邪引いちゃう」
「うん。でももう後がないんだよなぁ……
はぁ……どうしようかな」

考えながら大津川は、ちょん、と
タイマーを押した。
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