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優しいヒトに虐められてます。
第12章 お風呂にて・・・
嘘が嫌いな彼がここを「事務所」と偽った理由は
さすがのハルにもわかる。
バングルの実験を受けてもらうためだろう。
知らない男の自宅に連れ込まれたとわかれば
普通の女子は逃げ出す。

わからないのは、なぜ、嫌いな嘘までついて
ハルにバングルの実験を受けさせたのか。

以前、彼はハルを知っている風なことを匂わせたが
ハルはもちろん知らない。
もしかしたら幼少期にでも会っているかもしれないが
今になって接触してきて、会うたび
気持ちよくしてもらういわれはない。
――と思う。

「はぁ……」
結局、いつも彼への疑問はここに終着する。
いつかこの疑問が解消される日は来るのか。
それとも、来ないままバイト期間が終わって
それきりになるのか。

いや、最後のはないか。
フフ。

いつの間にか洗顔までし終えていたらしい彼は
シャワーを出しっぱなしにして何やら迷い
それから不意にキュッ、と止めた。

「ハル……」
「ん?」

「背中、流してもらえたりする?」
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