この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
優しいヒトに虐められてます。
第13章 雨と美術館
〈今から美術館行ってきますー。
昨日くしゃみしてたけど、体調はどう?〉
出がけ前の午前中に大津川にメールを送ると
彼はすぐに返してきた。
〈ちょっとだるいけど、たぶん大丈夫〉
〈たぶん、って……今日帰りに風邪薬買ってきてあげる?〉
〈いいって。こういうのは自然回復を待つ派だから〉
ハルは笑った。
めんどくさがって薬を飲みたがらない彼が
容易に想像できた。
〈じゃあ今日はゆっくり休んでね。
無理しちゃだめだよー〉
〈言われなくても無理なんかしないよ。
早くハルにも会いたいし。
いってらっしゃい〉
〈うん。行ってきます〉
ハルはスマホをバッグにしまい
傘立てから傘を抜いて玄関を出た。
空を見ると、埃のような雲から
控えめな勢いで雨が降っていた。
土砂降りじゃなくてよかった。
ハルは道すがら、念願だった美術鑑賞をする
自分を想像して、少しだけ酔いしれた。
昨日くしゃみしてたけど、体調はどう?〉
出がけ前の午前中に大津川にメールを送ると
彼はすぐに返してきた。
〈ちょっとだるいけど、たぶん大丈夫〉
〈たぶん、って……今日帰りに風邪薬買ってきてあげる?〉
〈いいって。こういうのは自然回復を待つ派だから〉
ハルは笑った。
めんどくさがって薬を飲みたがらない彼が
容易に想像できた。
〈じゃあ今日はゆっくり休んでね。
無理しちゃだめだよー〉
〈言われなくても無理なんかしないよ。
早くハルにも会いたいし。
いってらっしゃい〉
〈うん。行ってきます〉
ハルはスマホをバッグにしまい
傘立てから傘を抜いて玄関を出た。
空を見ると、埃のような雲から
控えめな勢いで雨が降っていた。
土砂降りじゃなくてよかった。
ハルは道すがら、念願だった美術鑑賞をする
自分を想像して、少しだけ酔いしれた。