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優しいヒトに虐められてます。
第13章 雨と美術館
トウキは真っ先にハルに駆け寄った。
上半身を剥かれているのを見て
羽織っていたジャケットをハルの身体に被せる。
そして背中と膝裏に手を添えてハルを持ち上げた。

そのまま部屋を出て外の車へ向かう。
アパートの階段を下りる途中、足がふらついた。
こんな状態のハルを落っことすわけにもいかず
なんとかこらえる。

アパートの屋根の縁に来ると、トウキは言った。
「少し雨に当たるから、目を閉じてて」
ハルは言われた通りに目を閉じる。

車に近づくと、あらかじめ手に握っておいたキーを
操作して自動で後部座席のドアを開けさせた。
ハルを慎重に収納する。

「ちょっと待ってて」
心配そうに見つめてくるハルに微笑みを返し
ドアを閉め、ロックをかけた。

トウキはハルが倒れていた部屋へ戻った。
「……さて、下衆を一匹、どう処理しようか」

相手の顔を覗き込む。
「何度か見かけたことのある顔だな。
まあいい」

トウキは部屋を眺めた。
目に留めたのは、奥の絵描きスペース。
「なるほど」

トウキは壁際に倒れる男に顔を戻した。
「君の選択肢を二つだけ用意してやる。
どちらか好きな方を選べ。
選ばなかったら僕が1を選択する」

――10分後。
「下衆の処理」を終えて部屋を出てきたトウキは
目の前の手すりに身体をもたせかけた。
「ふぅ……慣れないことすると、疲れるな」
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