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優しいヒトに虐められてます。
第13章 雨と美術館
車に戻ってきた大津川が運転席につき
ドアを閉めたところで声をかけた。
「何か……してきたの?」
「……少し、脅してきた」
彼はまだエンジンをかけようとしなかった。
「そっか……助けてくれてありがと」
ハルは彼の行動には触れず、感謝だけ述べた。
「僕は男が嫌いだよ」
唐突に彼はそう呟いた。
「男は自分の欲求を満たすためなら
他者を傷つけることも厭わない」
ハルは黙って彼の言葉を聞いた。
「でも、女も嫌いだ。
女は自分の要求を相手に呑ませたがる。
僕は人間が嫌いだ。みんな自分勝手だから。
きっと、僕も……」
大津川が沈黙する合間に、ハルは考えた。
たとえ人間がみな自分勝手だとしても
彼のように、自分勝手な都合で結果的に
自分を助けてくれる人がいるのなら
自分はせめて「その人のために」できることをしたい、と。
――それこそ自分勝手な都合で。
ドアを閉めたところで声をかけた。
「何か……してきたの?」
「……少し、脅してきた」
彼はまだエンジンをかけようとしなかった。
「そっか……助けてくれてありがと」
ハルは彼の行動には触れず、感謝だけ述べた。
「僕は男が嫌いだよ」
唐突に彼はそう呟いた。
「男は自分の欲求を満たすためなら
他者を傷つけることも厭わない」
ハルは黙って彼の言葉を聞いた。
「でも、女も嫌いだ。
女は自分の要求を相手に呑ませたがる。
僕は人間が嫌いだ。みんな自分勝手だから。
きっと、僕も……」
大津川が沈黙する合間に、ハルは考えた。
たとえ人間がみな自分勝手だとしても
彼のように、自分勝手な都合で結果的に
自分を助けてくれる人がいるのなら
自分はせめて「その人のために」できることをしたい、と。
――それこそ自分勝手な都合で。