パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第15章 彼のとっておき、そして・・・

「え……」

こうなることはわかっていた。
なぜかはわからないが、彼にはそういう節があった。
ハルのことを散々好きだと言うくせに
一向に何らかの関係を求めてこようとはしない。

なぜ、先に言わなかったのだと
ハルは自分自身を詰った。

「待って……私……トウキくんに
言わなきゃいけないことが……」
彼は黙って抱きしめてきた。

この抱きしめの意味は何だろうか。
急に涙をこぼしたハルを落ち着かせるため？
別れ際の最後のハグ？

わからない。
彼は心の内を何も教えてくれないから
ハルには何もわからない。

「大丈夫。最後の一個はとっておきだから。
そう簡単には終わらない。
まだしばらくは大丈夫だよ」

何が大丈夫なのかわからない。
彼の大丈夫と、ハルの大丈夫は
本当に同じものなのだろうか。

「ハルが言いたいことがあるなら
その後で言って。その時はちゃんと聞くから」

もう関係が終わりになるのがわかってから
言っても意味がないのに。
彼はそれを知らないから、そんなことが言える。

ねえ、トウキくん。
そんなに私と、恋人になりたくないの？