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優しいヒトに虐められてます。
第15章 彼のとっておき、そして・・・
「さあ、始めよう」
「やだ」
ハルははっきりと発音し、首を横に振った。

「駄々をこねても時間は等しく過ぎるよ。
せめて有効活用しようよ」
「やだ。やだやだやだ!
もっとずっと一緒にいたい……」

大津川が処置無しというように
大きく溜息をつくのが聞こえた。
「ハルは僕のことを信じてくれてないの?」
ハルは顔を上げた。
「どういうこと?」

「僕もまだどうなるかはわからない。
ただ、僕にハルを故意に傷つけたいという意志が
ないことだけは信じてほしい」
「そんなこと言われても……」
本当にそうなら、はっきりその根拠を言えばいい。
それを言わないということは、やっぱり……

「さあ、もう駄々はこねさせないよ。
指示です、寝台の上に寝ていてください」
寝台の縁に腰かけていたハルの身体は勝手に動き出す。
足を持ち上げ仰向けに寝た。

「……また私心で指示使った」
ちょっとむくれて言った。
彼の言葉のおかげというべきか、せいというべきか
不本意ながら、少しだけ、ほんの少しだけだが
気分が紛らわされてしまっていた。

「ちゃんと気持ちよくしてあげるってば。
そっちこそ、気持ちよすぎて失神したりしないでよ」
「しないよッ!!」
ハルはむきになって言い返した。

しかしまさか、本当に危うく失神しかけるほど
気持ちよくされるとは
その時はまだ夢にも思っていなかった。
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