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第15章 彼のとっておき、そして・・・

「ハァ……ハァ……ごめんね……トウキくん」
ハルは彼の膝を降り、呼吸を整えながら謝った。
興奮は未だ冷めないが、沸騰しすぎた脳は
少しクールダウンしてきた。

「どれのこと？」
彼が聞いてくる。
「え……？」
「気持ちいいのに気持ちいいって言わなかったこと？
僕の耳元で叫んだこと？
それとも僕のズボンを汚したこと？」

あ、あれ、なんかたくさんある……？
けど……

「ぜ、全部――」
「フフ。そう」
「――違う」
「……えっ」

ハルは少し身体を離して彼の顔を正面から見つめた。
「トウキくんのこと、信じてあげられなくて、ごめんなさい。
トウキくんのこと疑っていいほど、まだトウキくんに
酷いことされてないことに気付いた。
ちょくちょく嫌なこととか恥ずかしいことは
されてきた気がするけど
今思うと、そのどれも、結果的に私のためだった気がする」

きょとんとした様子で彼が見つめてきていた。
あまりに見つめ合いすぎると、恥ずかしくなってくる。

「だ、だから、信じるからね。
トウキくんは、私にとって唯一の……
理由がなくても信じられる人だから」