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Quattro stagioni
第5章 ♡ call my name
入籍するまで避妊を怠らないのがポリシーらしい藤くんは風呂場では理性を失わない。ベッドの上では時折暴走するが、そんなものは可愛らしく思えてしまう。なんやかんやびびって入籍を先延ばしにしている負い目なのか、惚れた弱みなのか、どちらだろうか。
私を急かして風呂場から出るとにやけた顔だが、きちんと身体を拭いてくれる。彼は髪を洗ってくれるのも上手だけれど、乾かしてくれるのも抜群に上手い。さも当たり前にドライヤーを渡せば全裸のままにこりと微笑む。
悪戯に私の尻に硬くなったモノを押し付けながらも髪を乾かしてくれた彼はさっと自分の髪も乾かすとドライヤーを片付けて両腕を広げた。笑みをこぼし、その腕の中に飛び込めば簡単に抱き上げてくれる。
「明日、朝一で主任ミーティングだから加減してね」
「…約束できません」
「……下ろしてください」
「嘘。冗談です。約束します」
ご機嫌取りの頬へのキス。そっとベッドに下ろされ、性急に触れようとする彼を制してキスをねだる。もっとあなたに触れさせて、とばかりに乳房をやわく揉みながら甘い毒をくれる彼はすでに息を乱している。
「……明日から服、長袖にしてくれません?」
舌を絡めあった濃厚なキスでうっとりしていると彼は唇を離し、鼻の頭同士が触れる距離で小さく言う。なんで、と問いながら唇を押し当てて藤くんの髪を弱く掴んだ。風呂上りのこの柔らかい髪に触れるのが私の最近のお気に入りである。
「あいつ、先週くらいから立つ位置近いんですよ。志保さんの腕に触れそう」
「君ね…そんなことばっかり気にしてないでちゃんとお仕事してください」
「してますよ。俺、今日部長に褒められましたよ。まあ、都筑に褒美でも貰ってんのかって茶化されもしましたけど」
「…まったく、あの人は」
脳裏にちょっとハゲてきた部長の顔が浮かぶ。昨年、あろうことか人の恋路を賭け事にしていた人たちは私たちがこれといってなにを言わなくとも結果を察したのか4人で会計15万という恐ろしい豪遊をしたらしい。
ちなみにその金額の所為で賭けに参加していた村澤さんは恋人の森さんと大喧嘩になったようだが、そんなことは私の知ったこっちゃない。