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Quattro stagioni
第5章 ♡ call my name
硬く勃起したモノを添えるくせに中々挿入はしてくれない。身体を倒して私を抱き締めた彼はキスをしながらじっとりと腰を揺り動かす。
「藤くん…ちょうだい、」
「ダメ。欲しいとき、なんて言うか教えましたよね」
そんなの、照れくさいって言ったのに。いやいやとかぶりを振ると藤くんの手は私の顎を掴んで、無理やり視線を合わさせる。キスをしてよ。そんな思いで口元を突き出しても口内に親指を押し込んでくるだけだ。
「ふっ…、」
「ほら、忘れちゃったの?」
言わせたいのか言わせたくないのかどちらなのだ。親指で舌を押さえつけられると溢れ出した唾液は咽喉へと逆流してくる。目尻に滲んだ涙の粒に唇を寄せて、かわいい、と言いながら藤くんは硬くなったモノでクリトリスを刺激して私をいじめる。
「はっ…ん、うっ…」
くそう。清水め。あいつの所為だ。彼が同期の女の子の呼び名が下の名前になったのを真似て、俺もケンシローって呼んでくださいとかかったるいことを言った所為だ。
藤くんが独占欲の申し子であると同時に嫉妬の化身であることを忘れていた私もバカだった。せめて藤くんの前でだけでも奴のことを清水と呼んでいれば良かったのに。自宅で夕食を取りながら、ケンシローくんがね、なんて言ったのが間違いだったのだ。
「ね、志保さん。下のお口はひくひくして欲しがってますよ。こっちはいつになったら素直になってくれるの?」
口内から出た親指は唇をいやらしくなぞる。むっとむくれてその親指を噛んでやった。
「ちょうだいって言った…」
「だから、そうじゃないでしょ」
「でも、」
藤くんは藤くんだもん。ぷうっと頬を膨らませて逃げようとするとその頬を押される。彼の首に腕を回して抱き着きながら腰を動かした。このままうっかり入ってくればいいのに。だが、藤くんはやや腰を浮かして逃げる。