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Quattro stagioni
第9章 スタンダールの幸福 Ⅳ

軽くシャワーを浴びたり、洗濯や部屋の掃除をしている内に夜になった。簡単にメイクをして、お気に入りのワンピースを纏う。

有希の家はわたしのアパートの最寄駅から20分ほど電車で移動した先にある。駅から数分歩くと着く区立公園は夜は真っ暗になり、光害の影響なく星空を観測できるからと週末の夜はカップルでひっそりと賑わっているらしい。有希はそれが羨ましくて仕方がないと笑っていた。

今日は長く続いた雨の日の記憶が霞むほどによく晴れていた。自宅を出てから見上げた暗い空はどこか澄んでいて、漂う静かな空気が心地良い。ついつい、鼻歌を歌ってしまいそうな心持ちで電車に飛び乗る。目的の駅に着くと有希は改札の傍で待っていてくれた。

「ごめんね、急に」
「ううん。こっちこそうちの方まで来させてごめん」
「全然。あ、ねえ、今日晴れてるし、ご飯食べたら公園の方行ってみようよ」
「ええ…嫌だよ…女ふたりだよ。最近、あそこカップル率高いんだもん」

とりあえず公園に行くかどうかはご飯を食べてから決めようということになって、予定していたスペイン料理の店に入った。決まってビールの有希を見ながら、昨晩のことを反省してわたしはアルコールは辞めて、見慣れないサボテンジュースを注文した。

「どうなの、会社。楽しくなってきた?」
「うん。昨日ね、暑気払いっていうのがあってね、部の人たちとフロアで飲んだり食べたりするんだけど…」

飲み物のすぐ後に運ばれてきたサラダを取り分けながら有希の問いに答える。それから彼女に電話するまでのことを簡単に話した。有希はわたしがビールを飲んだことも物凄く驚いたようだったけれど、それ以上に中原さんの家に泊まったのに何事もなかったことに驚いた様子だ。

「え、あれなの?その中原さんって草食系なの?据え膳食わない系?」
「どうなんだろ…なんか、不思議なんだよね」
「不思議って?」
「中原さんって、なんか…こう、雨に濡れてるみたいなの」
「ごめん、意味わかんない」
「上手く言えないんだけど…寂しそうっていうか、苦しそうっていうか…たぶん都筑さんって人と付き合ってると思うんだけど…」
「それ、美月の思い込みじゃない?部屋にその都筑さん?のものとかあった?」
「ううん。こざっぱりしてて…お洒落なんだけど、部屋もやっぱり寂しい感じだった」
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