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仮初めの恋人
第2章 私のフィアンセ~摂津凪子の依頼~
メールで内容は伝えていたが改めて口頭で説明する。
まだ日取りは決めていないけど結婚する予定であることを報告に行くという内容と共に念のために幸二朗の写真を見せておく。

「なるほど。理解しました」
「お願いできるでしょうか?」
「でもこんなことしても結局結婚はしないんでしょう? 失礼ですけど意味はあるんでしょうか?」

当然されると想定していた質問をされ、凪子は少し苛立つ。

「安心させたいんです、母を。ちゃんといい人いるから、心配しないでね、って」

少し早口で用意していた回答を叩きつけるように返した。

「なるほど。そうですか。お母さん想いなんですね」

簡単に納得してくれた男は微笑みながら頷き、凪子は振り上げた拳の落としどころをなくしたような拍子抜けを覚える。
しかし断られたわけではないので怒りはさっさと収めるしかなかった。

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