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仮初めの恋人
第2章 私のフィアンセ~摂津凪子の依頼~
「散らかってるけど……」と断りを入れたが、部屋は片付いている。
幼い頃から母との二人の暮らしだったから凪子は片付けや家事などは人並み以上にこなせた。

「シャワー、入ってくるね。明日も仕事だからあまり遅くなれないし」

それは言葉通りの意味であり、当然同衾の誘いではない。
フィアンセが泊まりに来ることはあっても必ずセックスするわけではないし、ましてやこの幸二朗とセックスをするつもりはなかった。

しかし彼は平然と

「じゃあ一緒に入ろうか?」

鈍感なのか馬鹿なのか、はたまたわざとなのか、事も無げにそう提案してきた。

「はあ? 悪いけど幸二朗とも一緒にお風呂入ったことはないから」
「じゃあ初めてだね」

そういうなり仮のフィアンセは服を脱ぎだしてしまう。

「ちょっとっ! 本気で怒るよ?」
「脱がせてあげようか?」

彼女の怒りなど気にした様子もなく、男は浮かれた顔で近付いてくる。
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