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第2章 私のフィアンセ～摂津凪子の依頼～

「いい加減にしてっ！　私はそんなつもりじゃ」

最後まで言い切る前に唇を塞がれた。

「ンーッ！」

必死で押し退けようとするがこの非常識男は岩のように動かない。

唇を舐められても歯は固く食い縛ったまま抵抗する。

シャツのボタンを片手で器用に外した彼は、その隙間から手を入れて乳房を掴んできた。

「ちょっと本当にっ……」

思わず口を開いた瞬間に舌を捻こまれる。

本気の力で胸を叩いてやるが、彼はむしろ悦んでいるかのように舌を蠢かしてきた。

出会って数時間しか経っていない男に唇を奪われ、胸まで愛撫され、凪子の心臓は異常なほどに高鳴っていた。
確かにこの男は見惚れるほどに美しい。
それにどこか愁いを帯びた雰囲気にも惹かれる。
しかし凪子は素性も分からない男の風貌だけに心を奪われるほど未成熟な女性ではなかった。

（こんな非常識な男なんてっ……）