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仮初めの恋人
第2章 私のフィアンセ~摂津凪子の依頼~
「そんなとこっ……汚いっ」

もちろんそんなことをされたのは生まれて初めてであった。
生暖かな柔らかさと硬い歯の感触が禁忌の興奮をもたらす。

幸二朗は悦びの目つきで凪子の反応を愉しんでいた。
それは本当に愛してくれているように見えた。

「変態……」
「褒めてるの?」

熱と潤いを孕んだ声でのじゃれ合いは恋人だけに許された淫蕩の秘密だ。


「私も……幸二朗のを、舐めたい」
「足の指を?」
「馬鹿……」

幸二朗は腰をずらして凪子の眼前に近付ける。
彼の赤黒い茎に指を添え、すうっと香りを嗅ぐ。

「そんなとこの匂いを嗅ぐなんて凪子も変態だろ?」
「私、自分が変態じゃないなんて言ってないわよ?」

凪子は嗅覚で興奮を覚える性癖があった。
ただそれは今まで誰にも言ったことがない。
それなのに出逢って数時間の男に言ってしまった。
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