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仮初めの恋人
第2章 私のフィアンセ~摂津凪子の依頼~
それでもさすがに美貌は消し切れておらず「凪子がこんなイケメン連れて帰ってくるとはねぇ」とからかわれてしまう。

時子は凪子の昔のアルバムを引っ張り出し、その一枚一枚に長い注釈を付けて説明する。

「もう、お母さん。そんな古いこと言わないでよ」
「なーに言ってんの。凪子にとっては古いことかも知れないけどお母さんにとっては昨日のことみたいよ」
「へえ。もっと聞かせて下さい」
「もうっ! 幸二朗まで!」

笑いながら怒ったり、懐かしんだり、照れたり。
幸せを切り取ったような空気と時間が流れる。

嬉しそうに幸二朗に話し掛ける母を見て、凪子は今回のことを企画してよかったと心から思えた。

上辺だけ取り繕った偽の恋人と引き合わせ、安心させるために騙すという行為なんて本当にしてもいいのだろうかと何度も悩んだが、喜ぶ母の顔をみるとそんな罪悪感も吹っ飛んだ。
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