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仮初めの恋人
第2章 私のフィアンセ~摂津凪子の依頼~
凪子も彼の思惑は分かった。
この家の壁は薄い。
隣の部屋で若い二人が音を立てて荒い息遣いを上げれば何をしてるのかはすぐに勘付かれる。

つまり娘がフィアンセと身体で愛を交わしているということを無言で伝えるというのが狙いだ。

(だからって……)

母に気付かれながらセックスをするなんて羞恥の限度を超えている。

幸二朗はパジャマを捲り、直で乳首を吸ってきた。

「っっ……」

緊張の中で刺激を受けると普段よりも気持ちよさが増してしまった。

唇を噛み、呼吸を止め、それでもされるがままに身を任す。

天井は見慣れた懐かしい実家の古汚い板張り。
子供の頃に意味もなく見上げていたその天井を見詰めながら、男に身を赦していく。

さすがに今日は擽ったり激しく責めるのは赦してくれるらしく、執拗なまでの愛撫はしてこないのが唯一の救いだった。
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