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第3章 初めての彼氏～郁野真莉の依頼～

カフェでのひとときで更に親密さを増し、そこからは手を繋いでデートを愉しんだ。

彼と一緒にいると本当に小説の中のヒロインになったような気分になれた。

それは彼女が望んだリアルな恋人との時間とは少し違う気がしていたが、今はこの夢のような時間を愉しんでいたいと素直に感じられる。

日も傾き始めた頃、少し早めにレストランに向かったのは、彼女にもその先の展開を少し期待するところがあったからだった。

しかしそのレストランに向かう途中、夢見心地の真莉に現実が嘲笑う。

手を繋ぎ親密に歩く二人の脇を通りかかったのは、やけに騒がしい大学生風の二人の男だった。
片方の男が真莉と秋希を見て、目を丸くした。

「おい、あれ」

何しても赦されると勘違いした若気の至りで、その男は真莉を指差し笑った。

「うわ、マジ？　彼氏デブ専かよ!?」