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第3章 初めての彼氏～郁野真莉の依頼～

「私ね……小学生の頃、『子豚ちゃん』ってあだ名つけられて苛められてたの……イジメって言ってもニュースになるような、自殺に追い込まれるような陰険で悪質なものじゃないんだけど……」

ゆっくりと語り出すと秋希は黙って耳を傾けてくれた。

「それから何だか怖くなっちゃって、人と、特に男の人と関わることが……」

真莉は自分の記憶を辿るように、ゆっくりと中学、高校、大学、そして今の会社に入ってからのことを彼に話した。

「でも会社で年上の男の人なら緊張しないんだろ？」
「それはもう、ずっと年上だし、結婚してる人が多いから」
「でもバツイチの人とも普通に話せるって言ってたよね？」
「うん、まあ……十歳以上年上だとあまり意識することもないから」
「なるほどな……」

秋希は分かったような、分かってないような曖昧な感じで頷く。