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第3章 初めての彼氏～郁野真莉の依頼～

「私も普通に恋したい、なんて思って秋希にお願いしてみたの。端から見たら全然釣り合いが取れてないのに、彼氏とデートしてるみたいな気分になって……馬鹿だよね」

どこかで否定してくれることを期待しながら、自嘲することで自虐的な悦びも感じていた。

秋希は短絡的な言葉を返さず、真莉をジッと見詰めていた。

その強い瞳には怒りが籠もっているようにも見える。

「年上のおじさん達は他の若い社員にも優しいの？」

そう訊かれ、会社での光景を思い出してみたが、あまり仲良く話しているところは思い浮かばなかった。

「違うだろ？」

まるで真莉の脳内回想を一緒に見ていたかのように、強く断定的に言い放つ。

「おじさん達は外見だけで人の善し悪しなんて判断しない。心の美しさや人柄をしっかりと見ているもんだ」