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仮初めの恋人
第3章 初めての彼氏~郁野真莉の依頼~
秋希は真莉の隣に座った。
迫るほど近くなく、余所余所しいほど離れてもいない。

「俺の初恋の相手もクラスで苛められていた。汚い奴だとか言われて。子供ほど残酷な生き物もいないからな」

先ほどまでの秋希を装った声色と違っていた。
それで真莉もこの話は作り話の類いではないと感じる。

「その女の子は強い子で、そんな誹りなど気にしなかった。けど堪えていないのを見ると子供の残虐性というのはますます煽られる。まったく落ち込んでいないと勝手に思い込み、イジメはエスカレートしていった」
「それ、分かる……私もそうだった」

イジメられても負けない。
その最後の意地とプライドも、へし折らなくては気が済まないのが子供という残酷な生き物だ。

「でも秋希は助けてあげなかったの、その子を」

そう訊くと彼は薄く笑いながら首を横に振った。
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