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仮初めの恋人
第3章 初めての彼氏~郁野真莉の依頼~
「じゃあこうしてあげよう」

そう言って秋希は真莉を抱き寄せる。

「きゃっ!? な、なにっ!?」

そしてタオルを縛り、真莉に目隠しをしてしまった。

「俺も目隠しをしよう。こうすればお互い何も見えない。ブスも美人もない。」
「それは……見えないだけで……」
「見えるからブスなんだろう? 見えなければあとは視覚以外で真莉を感じるしかない。声とか、言葉とか、触った感触とか。でも言っておくが真莉はブスなんかじゃない。顔が見えないのに俺は不満だ」
「きゃっ!! ちょっとっ……」

掴まれたのは腕だったが、それでもびくんっと反応してしまう。

「本当に秋希も目隠ししてるの?」
「ああ。一度だけ外して確認してみろ」

言われるままに目隠しをずらして確認すると、確かに彼も目許をタオルで覆っていた。

「念のため電気も消すからな」
「あ、はい……」

目隠しをずらしたついでに真莉が灯りを消す。
そして秋希の隣に座って、自ら目隠しを締め直した。
完全な闇が訪れると、急に不安な気持ちにさせられる。

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