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恋人上司と秘密の甘い夜
第1章 恋

「あっ!」

後藤さんのことを見て油断していたら配線カバーの出っ張りに足を引っかけてしまって、運ぼうとしたお茶を床にこぼしてしまった。


「あーあ。やると思った」

「すっ、すみません。今すぐ拭きます」

「いい。梨木さんにやられるとますます汚くなる」

きっぱりと断った後藤さんは、すぐに雑巾を持ってきて零れているお茶をしっかりと拭き取る。
でもそれだけでは終わらず、アルコール臭がきついウエットティッシュをポケットから取り出して綺麗に仕上げていた。


「後藤くんは本当に綺麗好きね」

その様子を見た飯近さんが優しい笑みを向けて後藤さんのことを褒める。


「これくらいやらないと気が済まないので」


そう。後藤さんは異常なほどの綺麗好きである。
いや、綺麗好きというよりも潔癖症だ。


パソコンのキーボードとマウスを使った後にはウエットティッシュで拭いてアルコール除菌。
もちろんデスクにはウエットティッシュと速乾性アルコール消毒液を完備している。

最初は驚いたけど、今は慣れたようなものだ。

私の席の斜め前には後藤さんのデスクがあるけど、他の誰よりもいつも綺麗にしていた。

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