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輪廻 ∞繰り返されるループ∞
第5章 4月4日
寛都は通学時間帯の満員電車に揺られていた。
ブレスレットからホログラムを放射させて何やら真剣に見ている。
こいつも優翔のようにネットオタクになるのか?
心配で、画面をタップして拡大すると、
勉強をしていた。
ああ、テスト前なのかもしれない。
「寛都〜、おはよう!!」
「ああ、美海(ミカ)、おはよう。」
電車を降りて改札に向かうと、別路線で来た彼女、美海と出くわした。
寛都は出くわしたと思っているだろうが、実は美海は微調整していつも改札で寛都とばったり会うようにしているのだ。
俺たち選民はスケジューリングしないと他人と会うことはない。
だからばったりということはあり得ない。
ああ、でも深雪はそれをやってのけたな。
長い年月を掛けてスケジューリングして、己を鍛えて、選考試験に挑んで…
美海が簡単に毎日していることを、
深雪は思い立った時から、多分20年近い歳月を掛けて微調整してきたのだ。