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第13章 テッペイ(33)②

「よく言われる。
　“テッペイにはムードのかけらもない！エッチする気あんの！？”って」


「そうやろうね」


「でも、これがオレやねん。
　ディスイズミー」


「………。」



　ワタシはもう、「何やねんコイツ」と思う気力すらなかったわ。
　テッペイはグレイテストショーマンの鼻歌を歌いながら、ユックリ髪を洗ってる。
　湯船の温度もいつもより高くてのぼせるし、最悪。



「…彼女とは長いん？」


「彼女？彼女なんかおらんで」


「じゃあ元カノに言われてたん？
　ムードがないって」


「ううん。オレ今まで一度も女の子と付き合ったことないで」



　一瞬、言葉を失ったわ。



「は？うそやろ？」


「ほんまやで。コレ言ったらみんな絶対同じ顔するわ。ハハハハハ」


「なんで？そんなんありえる？そんなにモテへんの？」


「モテへんことないで。ジブンみたいに、たまに変なモノズキにはキョーレツに好かれる」


「失礼な…別にワタシ、好いてるとかでは…」


「でも、こうやって部屋に上げてくれたやん。
　ちゃうか？」


「え？あ、あぁ…？」


「オレに惚れたらヤケドすんでぇ〜♪」



　テッペイはシャワーで頭を流すと、
　ご丁寧に…明らかに必要ないのに…
　コンディショナーまでしていたわ…。