この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
僕は、ヱッチな小説を書キてゐゑ
第2章 デビューに絶対必要なもの
「今日本に帰国したら、外貨でもってる貯金が円安効果で倍になるから、当面働かなくても食っていける」とか、「二か国語できるし、コネもあるから、いざ困ったら翻訳の仕事を友達に回してもらってしのごう」とか。
その程度ではありますが、ちゃんと生き延びる算段はもってた。
だいたい生きるか死ぬかなんて覚悟としては大甘だと思いませんか?
戦争に勝つためならいざ知らず、たかか作家ですよ?
しかもエッチな。
アニメ絵のヒロインが「ぉっほぉぉぉ」つって舌突き出してWピースとか、あるいはイケメンが「俺のことを忘れられなくなる夜にしてやるぜ……」とか言ってケツ穴掘っちゃう文章を売って生活する権利のために命張るのですか?
美学としてはカッコいいですけどね。冷静になりましょう。
読者は喜んでくれるかもしれませんが、あなたは死んでしまいます。
で、何か言いたいかというと、つまりたかが作家、たかがデビューということなんです。
私、山登りのお話けっこう好きなの多いんですよね。
新田次郎先生の『槍ヶ岳開山』とか、同先生原案で、坂本眞一先生作画の『孤高の人』とか、映画だと『バーチカル・リミット』とか。
そのへんの裏山へ行くんじゃなくて、高~い山に登る話。
なんで好きかっていうと、そういう登山って、命にかかわるので、自然とスリリングで、主人公に次々困難が降りかかって来て手に汗握れるのがいい。
で、死ぬかもしれないのに山に行く酔狂な主人公たちが、登る前に何をするかって話ですよ。